金曜日

とてとて 3

無意識に、歯をものすごく食いしばっていた。今日はほんとうによくない、よくないよくない、ああこんな時間だと思って時計を見てもまだ思っていた時間より90分も前だったりする。悲しいわけでも苦しいわけでもない、心持ちひとつで青魚も切り刻んでしまえるような、とにかく危うい状況にいる。
夜、寝支度を終わらせて外に出た。呼吸と変わらないような外気のぬるさ。でもまだかろうじて風があり、きもちよく深呼吸をする。街灯の光から隠れるように、知らない住宅のボイラー脇にしゃがみ込む。夜があってよかった ときどき、奥の方から滲んでくるように泣いた。夜が私の涙を搾りとる。一昨年出逢った猫はもういない。まだまだすなおに歩いてゆけそうだったけれど、家の前をしばらく往復してすぐに戻ってきた。今日はお酒を呑みすぎた。

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とてとて28

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