夜、実家から届いた荷物にはいきいきとしたみどりたち。うれしく、あまりにもまぶしくてため息がでた。私の生まれた土地の生命力に打ちのめされてしまう。
食用ほおずき、今季最後のトマトたち、野沢菜、水菜、蕪にかぼちゃに青梗菜。
せいいっぱい迎え入れるのだ、と居直って竹ざるに野菜を乗せた。
夏、離れた街まで友だちとドライブをしたときにちいさな商店で買った竹ざるはかわいらしくてよい色をしている。この竹ざるに私が息を荒くしていたそばで、友だちふたりは大昔の雑誌を見ていた。手に取るたび過ぎた季節を思う。きっと向こうにとっては何気なかったあの日のことが私には今もじんとうれしくて。きょう名前を呼びあえるひとりひとり、どこからか告げられた順番にしたがってとおくへ行ってしまうのだと思うと目を瞑りたくなる。
これ以上人間をすきになりたくなくて、むりやり植物図鑑をひらいて編み針をたぐり寄せる。たのしいからではなく、かなしくなりたくなくて無心でつづけていることばかりだ。
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